臨時休校期間中の休日、吾輩も「STAY HOME」を遵守し、自宅に籠もっていた。
たまには、自室の整理整頓でもしようかと、奥の書棚、その横のクローゼットなどを開いた。
この辺りは何をどのようにしまいこんでいるのか、吾輩自身も把握していない領域である。
家族はそこを「ダンジョン」と称しているらしい。
予想を裏切ることなく、大量の招き猫、国語の参考書・問題集から、吾輩が「思い出」とする様々な(人様からすれば)ガラクタまでがあふれかえっていた。
挫けそうな気持ちを抑えつつ、この機会に少しでもと思い、整理整頓を進めた。
ふと、手が止まったのは、平成5年の「甲子園初出場」の記録であった。
2月の選抜出場決定を受けての流れがぎっしり書いてあるノートである。
なにしろ、初出場である。学校全体が何もわからない。しかし、長崎日大の生徒・保護者・教職員・卒業生・関係者がひとつになって、力一杯、爆進した軌跡である。
まだまだパソコンの導入も進んでいないころで、配布したプリントにも「手書き」が目立つ。
甲子園の概観図やメンバーのテーマ曲一覧なども時代を感じさせるものである。
着任したばかりの20代の永石先生や早田先生と手探りで爆走していた。3人で「甲子園ラプソディー」などと軽口をとばしていたものである。
しばし、感傷に浸る吾輩であった。
というわけで、吾輩の書斎の片付けは一向に進まなかったのである。
今、この状況において、あの春の一幕がとてもとても幸せなものだったことが身に染みてわかる。どの競技においても、どの分野においても、平和な世の中、平凡な日常がどれだけ貴重なものなのかがわかる。
現在の痛み、切なさは計り知れない。
しかし、必ずまた取り戻せる。
そのときまで、みんなで励まし合い、みんなで支え合って、長崎日大は進んでいきたいものである。
本日はここまで。
本日の招き猫は「赤色」、ご存じのとおり「疫病除け」である。そして袋を抱えている。世の中に蔓延するコロナウイルスを袋に収めてくれないものかと願いをこめてである。